人材力

男気経営で急成長 職人・顧客と信頼築く

株式会社ヒルズハウス

代表取締役

中山晋吾

写真/大崎 聡 文/成田敏史 | 2014.06.10

営業会社のヒルズハウスと施工会社の中山建設の代表取締役を兼務する中山社長。「人前で話すのは苦手」とはにかむ顔に見え隠れする湘南の男の男気とは?

株式会社ヒルズハウス 代表取締役 中山晋吾(なかやま しんご)

1977年生まれ。神奈川県出身。塗装職人として経験を積んだ後、1999年に独立し中山建装を創業。2004年に同社を有限会社へ法人化、2012年に株式会社に組織変更。同年5月に株式会社ヒルズハウスを設立し、同社の代表取締役を務める。2社合計で35名の社員を抱える。

15歳で塗装職人として働き始めた中山社長は、外装塗装を専門に行う中山建装を創業し、神奈川県下トップクラスの職人数を抱える施工会社に成長させた。そして2012年、営業会社となる株式会社ヒルズハウスを設立。営業会社と施工会社を同時に経営すれば、施工の低価格化や徹底した品質管理、アフターサポートを顧客に約束できる。さらに、中山社長がヒルズハウスを設立した背景には、もうひとつの思いがあった。

「実は私、人前で話すのが苦手なんです(笑)。そんな私がなぜ営業会社を立ち上げたのかといえば、ヒルズハウス、中山建装の社長として、職人や社員たちの生活を潤したかったからです」

塗装職人の給料は、一般的な会社員に比べ安定しているとも言い難い。10代から職人として現場に立ち続けてきたからこそ、職人たちの生活の安定を考えずにはいられないのだ。

ネクシィーズ・近藤社長とツーショット。「近藤社長は目の輝きが印象的。常にわくわく仕事をされているのでしょう」(中山社長)。

中山社長は朝、現場へ向かう職人たちと“顔”を合わせている。

「彼らの表情の微妙な変化で、瞬間的に『プライベートで何かあったのかな?』とわかるんです。そんなときは、自分から声をかけるよう心がけています。職人をフォローできるのは自分しかいないですから」

そんな男気あふれる中山社長のもとには、求人広告を出さなくても社員が集まり、一度入ると離れる者はほとんどいないという。ヒルズハウスは設立2期目から前期だけで売上高が300%上昇。その要因について「地元密着で、常に顧客の目線に立ったコミュニケーションを考えているから」と中山社長は話す。

「職人の技術やマナーは徹底的に教育していますし、“現場はショールーム”だという考えのもと、どんな方にも不快感のないよう整理整頓し、安全対策も厳重に行っています」

なかでもユニークな取り組みが、ヒルズハウスが設立以来続けている「塗り替え交換日記」。職人が日々の作業をノートに書いて報告し、施工主もそれに要望などを記すのだ。これなら施工主が夫婦共働きで工程を確認できないような場合でも、作業の進捗や気になる点、新たな要望を伝えることができる。

「クレームはコミュニケーション不足から起こるもの。それを防ぐためには、きめ細やかなやり取りが不可欠ですが、職人に直接聞きづらいこともありますし、会話だけでは記憶違いが起こってしまうこともあします。ですから、記録として残る形で最後までコミュニケーションをとり続けるんです」

そうしたやり取りで育まれた信頼関係が新たな仕事を生む。職人、そして顧客とも強固な絆を深めながら、ヒルズハウスは成長し続ける。

SUPER CEO Back Number img/backnumber/Vol_56_1649338847.jpg

vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
コンテンツ広告のご案内
BtoBビジネスサポート
経営サポート
SUPER SELECTION Passion Leaders