市場創出力

最適解はデジタルネイティブ 「Z世代」のマーケティング流儀

Liberty株式会社

代表

林 秀永

写真/芹澤裕介 文/竹田 あきら(ユータック) | 2021.08.10

YouTubeやTikTok、そしてSNS……。デジタルツールをビジネスに活用するには、デジタルネイティブに任せるのが最適解。25歳の「Z世代」が取り組む新時代のマーケティングの流儀とは?

Liberty株式会社 代表 林 秀永(はやしひでなが)

1996年、神奈川県生まれ。関東学院大学で建築環境学部卒。大学在学中にYouTubeの収益化を達成し、YouTubeコンサルティングも手掛ける。新卒で大手ソフトウェア販売代理店に入社し独立、YouTube動画の制作・コンサルティングを手掛けるLiberty officeを設立。2021年1月に法人化して「Liberty株式会社」に社名を変更。

チャンネル登録者数や再生回数に縛られず、商品販売数で勝負

ビジネスの常識は、時代の流れと共に変化する。いつの世も若者が台頭し、古い慣習は新しいセンスによって書き換えられる。SNSマーケティング事業とYouTube番組制作事業を手掛けるLiberty株式会社は、1996年生まれの林秀永氏が設立した。

「僕たちはZ世代の初代にあたります。爆発的にインターネットが広まるなか育ったデジタルネイティブです。物心がついた頃にはネットが一般に普及し、思春期にはすでにスマートフォンがありました。幼い頃からいろんな情報にさらされた結果、幸せの価値観が多様化し、利他的な行動を取る人も多く、自分の半径1メートル以内の人の幸せを考えて人生を歩もうとします」

既存事業にとらわれず、自分たちがもつスキルや経験をフル活用して、多面的な事業展開を計画している。

初代デジタルネイティブである「Z世代」の林氏が手掛けるビジネスは、前時代の人たちとはセンスが違う。YouTubeの番組制作やチャンネル運用代行でも、広告収入を稼ぐ、タイアップ収入を得るといったアプローチを取らずに、YouTubeをブランディング、ファン化を進めるツールとして活用して、クライアントが販売する商品やサービスの購買へダイレクトにつなげる。

「僕たちは、チャンネル登録者数や再生回数に縛られずにYouTube番組の制作をしています。チャンネル登録者数が少なくても、商品が売れていればそれは結果を出しているということ。YouTubeは不動産や高級車、あるいは弁護士や税理士といった士業サービスなど『高額商品』のアピールに適したメディアです。YouTube視聴者の年齢層が年々上がってきているのも一因。ニッチな趣味や興味をもっている層にダイレクトに訴求して、高額商品の購入へとつなげる。これがYouTubeを活用したマーケティングの一例です」

SNSで多方面とつながりをつくれない企業に未来はない

それぞれのSNSの特徴やユーザー属性を活かして、マーケティングにどのSNSを使うか決めている。

「TikTokは、20代~30代がメインユーザー。企業からすれば、採用のターゲットとなる年齢です。そこで当社ではTikTokを活用した採用ブランディングを勧めています。若い世代は、ホームページのつくられた情報よりも、TikTokやYouTubeを通したリアルな情報を求めています。TikTokで自社をアピールすれば、若い世代へダイレクトに届きます。TwitterはBtoCの企業が自社の商品やサービスを拡散するのに向いています。Instagramは、ブランディング。企業イメージを形成したいときはInstagramを使います」

有名YouTuberの動画編集を手掛けるなど、YouTube番組制作でも豊富なノウハウをもつLiberty株式会社だが、クライアント獲得のための営業には工夫を凝らしているという。なぜなら、古いビジネス慣習にとらわれている企業とは、組めないからだ。

「基本的にFacebook経由で営業をしています。SNSマーケティングもYouTube番組制作も、古い常識で動いている企業には無縁の話です。ですから、Facebookを活用できている企業に絞って新規クライアントの獲得に動いています。古き良き企業も、新しいことにチャレンジしないと、今までに築いてきた地位を脅かされる時代です。SNSやインターネット動画を活用して、いろんな人とのつながりをつくる。これができない企業に未来はありません」

TikTokを活用した採用ブランディングと聞いても、たいていの担当者の脳内には「?」が浮かぶだろう。人材不足が深刻化するなかで、「採用」は生き残り戦略の重要なファクター。若い世代のことは若い世代に任せ、若い世代に刺さる方法でアピールするのが、賢い選択だ。

SUPER CEO Back Number img/backnumber/Vol_56_1649338847.jpg

vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
コンテンツ広告のご案内
BtoBビジネスサポート
経営サポート
SUPER SELECTION Passion Leaders