技術力

愛する地元を“盛り建てる” 登別の若大将

上口建設株式会社

代表取締役

上口 喜代志

写真/守澤佳崇(office WORKS) 文/宮本 育 | 2017.01.31

拠点とする登別市ににぎわいを取り戻すため、建設業を営みながら地域再生を目指す上口代表。人づくり、会社づくり、町づくりに挑み続ける、その生き方に迫る。

上口建設株式会社 代表取締役 上口 喜代志(かみぐち きよし)

汗を流し力仕事に励む建設作業員の姿を見て、男らしさを感じたのが建設業界に入ったきっかけ。2006年3月に独立し、同年8月に上口建設株式会社を設立。わずか25歳で、15名の従業員を束ねる長となる。2017年現在、28名の従業員が所属しているが、今後50名まで拡大し、よりニーズに応えられる組織にするのが目標。

2008年をピークに減少に転じた日本の人口。特に北海道は深刻で、太平洋に面した北海道有数の温泉地あでる登別市も、2040年にはピークだった1983年(約5万9500人)から約6割まで減少すると予想されている(登別市)。上口建設は、この地を拠点に、10年以上、躯体工事、根切り工事、足場工事、エクステリア工事など、幅広い建設・建築工事を行ってきた。同社の上口代表も、町の未来に不安を感じている。

「いつかこの町が無くなるのではないかと感じることがあります。そもそも、登別で就職、起業したのは、この町を盛り上げたいと思ったのが理由でした」

上口代表が建設業界に入ったのは19歳のとき。建設業は、地域に限らず“稼げる”業種であるため、町を出て別の土地で働く選択肢もあった。しかし、上口代表は町に残ることを選ぶ。自分を育ててくれた地元に恩返しをしたい──それが理由だった。

最初は、体を動かすことが好きで選んだ仕事だったが、いくつもの現場を経験するたびに、次第に自ら会社を起こし、自分の力を試したいと思うようになる。そして、25歳で独立、その5か月後に上口建設を設立。信頼できるパートナー(現 同社専務)を含めた、15名ほどの若い従業員が集まった。

「最初の従業員は、25歳で地元で起業した私に興味を持ったようでした。今は28人になりましたが、彼らに引かれて集まってきてた者たちがほとんどです」

事業拡大に伴い、今後50名ほどに増員するのが目標とのこと。町の財産である若者の流出を食い止めつつ、少しずつ、しかし確かな足取りで、町を盛り上げている上口代表。その静かな語り口から、強い信念が伝わってくる。

地元の幼稚園「コロポックルの森」へ5mのこいのぼりをプレゼント。そのお礼に園児たちが書いてくれたお礼状。

もともと、職人として現場に出ていた上口代表だが、2012年に現場をあがり、経営に専念している。経営について深く学ぶために異業種と交流するなかで、会社の発展には町の活気が不可欠であることを改めて感じた。

「町が衰退し、人口が減れば、建物、つまり私たちの仕事が減ります。そうなると、ますます人が減っていきます。そのような負のスパイラルに陥らないためにも、地元の若者が残り、さらに外から人が集まる、魅力的な町にしなければと思うようになりました」

そこで、多忙の合間を縫って、地域活動への参加を始めた上口代表。毎年6~8月に開催する登別の名物行事「地獄の谷の鬼花火」では、自ら地獄谷に棲む湯鬼神(ゆきじん)に扮し、巨大な吹き上げ式の手筒花火を打ち上げる。竹筒から8mの火花が放たれるたびに響く歓声を聞くと、「この町に惹かれた人がいるかもしれない」と思うそうだ。

これからの夢について聞いてみた。

「さらなる人材の確保も兼ねて、札幌に営業所をつくりたいです。しかし、本拠地はあくまで登別。私を育ててくれた町を無くすわけにはいかないので」

郷土愛に溢れた上口代表の恩返しは、まだまだ続く。

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vol.40

「人とは真っ当に付き合え!」なぜ、幻冬舎・見城徹は圧勝し続けられるのか

株式会社 幻冬舎

代表取締役社長

見城徹

五木寛之の『大河の一滴』、石原慎太郎の『天才』。そして直近の浜崎あゆみをモデルにした『M 愛すべき人がいて』に至るまで――。数々のミリオンセラーやベストセラーを世に送り出し続けてきた幻冬舎の見城徹社長。 独特の“熱い言葉”が世の中に響き過ぎることもあるが、「圧倒的な結果」を残してきた背景には、見城社長が血のにじむような努力によって作家やアーティストとの関係を丁寧に築きあげ、彼らから絶大な信頼を得ていることが大きい。 人とのつながりをどう作り、強固なものにするのか? あらゆるプロたちに響く、人と仕事に熱狂するためのスピリットを伺った。
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