技術力

訪日外国人を楽しませる「2.5次元ロボットシアター」

株式会社ドリームシーカー

代表取締役社長

清水一寛

写真/中田浩資 文/松本理惠子 | 2019.09.10

リアルさとファンタジー性を備えた2.5次元ロボット「Kan Ban Musume」を自社製作する、株式会社ドリームシーカー。急増するインバウンド需要に向けて、2.5次元ロボットのいるシアターで勝負に出る!

株式会社ドリームシーカー 代表取締役社長 清水一寛(しみずかずひろ)

1958年岩手県花巻市生まれ。関西外国語大学英米語学科卒業。シンセサイザーの販売会社を経て、ロボット制御デバイスの販売会社に転職。2005年、前会社の事業を引き継ぐ形で独立、有限会社ドリームシーカーを創業。アミューズメントに特化し、音と光の信号による動作プログラミングでロボットを動かす。現在は、AIをカスタマイズした2.5次元のサービスロボットを開発中。

株式会社ドリームシーカーは、音や光に合わせて動くロボットのプログラミングを得意とする会社。音や光をデジタル化し、MIDIという機器転送用のデバイスを使って、ロボットに動作を与える。

清水代表は1982年にシンセサイザーメーカーに就職してMIDIと出合い、1990年にハリウッド版MIDIの輸入販売会社に転職。そこからアミューズメントロボットのプログラミングに携わってきた。「日本テレビ本社の『宮崎駿デザインの日テレ大時計』の動作、音響プログラムを担当した人物」でもある。

その清水代表が30年以上の経験とノウハウの集大成として、2018年から挑戦しているのが「2.5次元ロボット」の開発だ。2.5次元ロボットとは、“人間的なリアルさや温かみ”と“二次元キャラクターのファンタジー性やアイドル性”を両立させた、ドリームシーカー製のロボットのこと。造形デザインから機械の組み立て、動きの設計やプログラミングまでを自社で行う。

「産業系ロボット開発に強い会社はたくさんありますが、アミューズメント系ならうちは老舗で、技術的にも負けません」と自信をみせる清水代表。

昨年試作機が完成し、現在は実用機「Kan Ban Musume」を製作中。メイド服を身に着けた若い女性のロボットで、身振り手振りしながら歌ったり、にこやかに挨拶したりする。皮膚は特殊なシリコン製で、見た目の質感や表情の動きはかなり人間に近い。一方で、人間を超えた2次元キャラクター的な愛らしさがある。

「Kan Ban Musumeの活用シーンは観光案内や接客、お年寄りの相手などが考えられますが、まずはアミューズメントロボットらしく、歌や映像を交えたショーで実用化します。東京五輪や大阪万博などの訪日外国人客が多く集まる秋葉原や渋谷、六本木などで、“旅”をテーマにしたシアターを開く計画です」

清水代表が2020年春に実現を目指すシアターは、次のようなものだ。80名ほどが入れるスペースに、客席を囲むように270度の巨大スクリーンを配置し、東京の名所をプロジェクションマッピングなどで映し出す。そして、ステージにいるKan Ban Musume が映像や音楽、光の演出に合わせて、東京の街や文化をナビゲーションしていく。約1時間のショーの前後は、客席で食事も提供する。

「真冬のシーンで会場にスノーマシンで雪を降らせるなど、五感を刺激する演出を考えています。東京への旅の目的のひとつになるシアターを目指しています」

“このロボットを目当てに人が集まってくるように”との思いから「Kan Ban Musume」と名付けた。今後はイケメン男性の2.5次元ロボットが登場する可能性も。

そもそも自社でシアターを始めようと考えた理由は何だったのか。

「Kan Ban Musumeは開発費が高額で、単体では買い手が限られます。そこでシアター空間ごと、パッケージングとして販売できればと考えたのです」

シアター始動に向けて、プロデューサーやイベントスペースの候補はすでに決まっている。

「あとは、スポンサーが見つかれば。東京都や観光会社、アミューズメント会社などと協力できれば理想的です。興味を持った企業や団体の方がいたら、ぜひ声をかけてください!」

今後、アミューズメント系ロボットの需要は拡大すると清水代表は断言する。

「タコ焼きを自動で作る機械はありますが、もし顔や体をもったロボットが目の前で鉄板で焼いてくれたら楽しいですよね。そんなふうに、人を喜ばせたり満足させたりするロボットが求められる時代が来ます。そのとき、ドリームシーカーが先陣を切っていたいですね」

とはいえ、人間に近い姿形のロボットが一般化するためには、現状ではコストがかかりすぎるという問題がある。この点についても、清水代表はいち早くアクションを起こしている。

「ロボットの人間らしさを決める最大のポイントは、話すときの口の形や表情の動きです。現状では各開発会社でひとつひとつプログラミングしていますが、これをフォーマット化して世界標準のエンジンをつくることができれば、大きくコストダウンが図れます。実はフォーマット化に向けて、経済産業省や特許庁などに相談を始めたところです。人型ロボットのハードルが下がり、さまざまな個性をもったロボットが出てきてくれたら嬉しいです」

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vol.39

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