資金調達ノウハウ

キャピタリストの視点[6]

投資検討の確度が分かる!投資家との面談時に起業家が聞くべき5つの質問

株式会社オプトベンチャーズ

パートナー

菅原康之

編集/塚岡雄太 | 2018.08.03

この連載では、これから起業したいと考えているプレ起業家や、起業して実際に投資家から資金調達をしたいと考えている方々へ向け、自身がベンチャーキャピタル業務をしている中でよく聞かれる質問などをもと、成功するためのヒントをご紹介します。

今回は、「面談時に投資検討確度を測る5つの質問」について。起業家と投資家の面談では、どうしても投資家側が有利な立場になりがちですが、起業家側からある「5つの質問」をすることで、その投資家が本当に投資を検討してくれているのか確認することができる、テクニックを伝授します。

株式会社オプトベンチャーズ パートナー 菅原康之(すがわら やすし)

2010年、オプトHLDに入社。新規事業開発社内インキュベーター、イントレプナーとして社内新規事業開発を専門とし、13年よりコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)事業を担当し、投資先の事業成長支援を行う。15年より、ベンチャーキャピタル子会社の設立時より参画。パートナーに就任。慶應義塾経営大学院経営管理研究科卒業(MBA)。

©Shutterstock

 

起業家の悩み。本当に投資を「検討」してくれているの?

起業家が資金調達にあたって投資家回りをするなかで心配になることが、投資検討しているように見せているけど、「本当に投資検討してくれているだろうか?」ではないかと思います。

本来は対等な立場であるはずの起業家と投資家ですが、こと資金調達という場面においては、お金を握っている投資家が有利な立場になってしまうのが現実です。当然ではありますが、投資家は投資検討のプロセスを起業家側には開示しませんので、起業家にとっては、多くのプロセスがブラックボックスの中で進むことになります。

となると、起業家にできることは数多くの投資家を回り、全力でピッチをし、後は運を天に任せる、そんな感じになっているのではないかと思います。なにやら、新卒の就職活動に似ていますよね。

 

投資家がスケジュールの話をしなかったら検討しないサイン

では、どのようなプロセスで進められていると、起業家にとって確度が高く進んでいると捉えられるのでしょうか? まずは、投資検討のプロセスを知る必要があります。

一般的には、次のようなステップで投資検討がされています。

①プレゼンテーション
(マネジメントインタビューなど呼び方は各社によってさまざま)
②案件会議
③プレ投資会議
④投資会議
 

投資検討のプレセスについての図表

※編集部作成(クリックで拡大)

各社によって、多少異なり①と②は前後したりしますが、概ね上記のような流れとなります。これを踏まえて、投資家があなたの会社への出資を本気で検討しようと思った時に、まず確認するのが「期限」です。そして、そのために必要なプロセスの話をします。

投資家側でも数人の投資担当者でディールソーシング(投資先発掘)を行っており、各案件の投資検討スケジュールとのバランスを考えて、投資会議を通せそうか? 難しそうか? を考えます。

この投資家の頭の中を少し知っておくと、本気で検討する気であれば、次の項目について、確認と共有をするはずなのです。

1.今回の資金調達の判断期限
2.今回の資金調達についての、投資家側のプロセスと払込みまでの平均リードタイム

ですので、もし、あなたが投資家に投資検討の依頼をした時に、上記のような判断期限の確認や検討プロセスに関する話がなかった場合には、その投資家はあなたの会社への投資に対してそれほど前向きではないと受け止めてください。

 

投資家が本気で投資検討しているかを判断する5つの質問

このような投資家の行動と起業家の認識は、いわば暗黙知のようになっていますので、あまり知識や経験のない起業家が「すごく興味を持ってくれた」とポジティブに受け止めた場合でも、実際のところは前向きに検討してはいなかったというケースは結構な頻度であります。

そこで、投資家の本気度を確認するために有効な、起業家が頭に入れておきたい5つの質問を用意しました。資金調達で投資家回りをする際に、ぜひ使ってみてください。

投資の本気度を測る5つの質問リスト

※編集部作成(クリックで拡大)

上記の質問をしてみれば、投資家があなたの事業に興味があるのかないのかが、ほぼ確認できると思います。

仮に投資家とのコミュニケーションに慣れていない場合には、4.と5.の質問だけでも確認できれば最低限のことが分かりますし、 投資家側から、すぐ検討できるのか、そうではないのかを伝えてくるはずです。

 

結局のところ担当者との出会いと相性次第

©Shutterstock

投資家はそれぞれ、次の5つの条件を持っていて、その中であなたの会社に投資できるかどうかを検討しています。

1.得意な投資領域
2.得意な事業ステージ
3.一社あたりの投資金額
4.リードもしくはフォロー
5.平均的な投資検討期間

しかしながら、投資対象としてとても魅力的であれば、これらの条件に合致しなくても例外的に投資検討をすることもあるのです。結局のところ、担当者との相性次第と言ってしまえば元も子もないのですが、そのような事例も少なくはないのも事実です。

まずは、あなたの事業について興味を持ってくれそうな投資家をリストアップし、得意領域の情報を集め、実際にプレゼンをする中で、上述のような5つの質問をして、自社にとって相性の良い投資家なのかどうか、本気で投資検討してくれるのか、を見極めてください。

事業成長のための資金を集めるのがゴールなのであれば、個々の面談で一喜一憂せず合理的なプロセスを組み立てていく方が、メンタルヘルス的にも良い状況の中で、資金調達が実現できるでしょう。

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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