ヒラメキから突破への方程式

スポーツクラブのスポンサーになるという営業戦略 企業の知名度アップ以外にも効果あり

株式会社あしたのチーム

代表取締役会長

高橋恭介

写真/片桐 圭 文/竹田 明(ユータック) | 2018.07.02

高橋恭介のスピーチ風景
野球、サッカー、バスケットボール、モータースポーツをはじめ、企業がプロスポーツチームのスポンサーになることは珍しくない。企業名を掲出する看板には最新テクノロジーが導入され、アナウンスも演出に絡めて行われるなど、広告の手法は進化し続けている。それだけ知名度アップの効果とニーズがあるとも言えるが、中には営業戦略の一環として資金提供する企業もある。

株式会社あしたのチーム 代表取締役会長 高橋恭介(たかはし きょうすけ)

1974年生まれ、千葉県松戸市出身。東洋大学経営学部卒。大学卒業後、興銀リース株式会社に入社、リース営業と財務を経験する。2002年、プリモ・ジャパン株式会社に入社。副社長として人事業務に携わり、当時数十名だった同社を500人規模にまで成長させる。2008年、株式会社あしたのチームを設立。1200社を超える中小・ベンチャー企業に人事評価制度の構築・クラウド型運用支援サービスを提供。2018年6月現在、国内47全都道府県に営業拠点、台湾・シンガポール・上海・香港に現地法人を設立している。2018年6月28日、同社の代表取締役会長に就任。

1年で全国60超のプロスポーツクラブに資金提供

「オープン&フェア」を合言葉に、日本ではまだ整備されていない企業の人事評価制度の市場開拓を目指す株式会社あしたのチームは、2016年から積極的にプロスポーツクラブへのスポンサーに打って出ている。資金提供はバスケットボールやサッカーを中心に、全国60以上のプロスポーツクラブに及ぶ。

あしたのチームが資金提供する中には、Bリーグ(バスケットボール)の千葉ジェッツふなばしや、Jリーグ(サッカー)の横浜FCなど有名チームも多い。

4億円を超える資金をプロスポーツクラブに投入している背景には、知名度アップの狙いもあるが、同社が提供する人事評価制度の効果をアピールする戦略がある。

「スポーツクラブが人事評価制度を導入して経営が変わると、チーム強化につながり、『勝利』という明らかな業績をもたらします。あしたのチームの人事評価制度の効果をアピールするには、絶好のモデルケース。しかも、大半のプロスポーツクラブの運営会社は従業員30人以下の中小企業、当社のメインターゲットです」(株式会社あしたのチーム代表取締役会長・髙橋恭介)

高橋恭介のインタビュー写真

あしたのチームが提供するのは、クラウド型人事評価制度「ゼッタイ!評価®」。社員の給与アップを経営の最優先事項とすることで、社員のエンゲージメント、生産性アップを促し、会社の業績を向上させる。それがあしたのチームが提案している“あしたの人事評価”だ。

»給与アップで業績は向上できる あしたのチームの人を育てるフェアな人事評価とは

「勝利」をもたらす人事評価制度は拡大する

プロスポーツクラブの運営会社で働く社員は、バスケやサッカーが好きということを理由に働いている人が多い。彼らは時間や手間をかけることを惜しまず、ハードワークも厭わない。企業もそこに甘え、労働環境は決して整っているとはいえない。好きだからこそ感じる社員のやりがいを悪用した“やりがい搾取”型企業の典型ともいえる。

そういったプロスポーツクラブが“あしたの人事評価”を導入すると、制度を通じてKPI(重要業績評価指標)を設定し、観客動員数やグッズの売り上げにコミットした、“稼ぐ経営”を実現する。スポーツクラブにはそれぞれ地元の企業がスポンサーとしてついているが、あしたのチームは、そのスポンサー企業にも実績を示してクライアントに取り込むことで、全国的に人事評価制度を広めたい考えだ。

「プロスポーツクラブがある地方には、それを中心にした経済圏ができています。私たちはチームを支援することで、そのコミュニティにアクセスすることができ、口コミを中心とした地上戦のマーケティングに効果があります」

高橋恭介のポートレート写真

“あしたの人事”によって成果が出れば、スポーツクラブ側もセミナーを主催するなどして積極的にスポンサー企業に人事評価制度導入のメリットをアピールしてくれる。スポーツクラブから紹介された企業があしたのチームの人事評価制度を導入すれば、チームに仲介手数料が入る点も後を押す。

政府も「日本再興戦略2016」において、プロスポーツ産業を現在の3倍の15兆円規模にする政策を進めている。競技の区別なく導入できる“あしたの人事評価”をプロスポーツクラブ経営に生かすのは、日本のプロスポーツ産業に大きな貢献をするだけでなく、あしたのチームの業績にも好影響を与える見事な戦略といえそうだ。

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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