刺激空間から革新が生まれる

発想を豊かにする会議室から世界的なプロダクトを生み出す

株式会社インタースペース

代表取締役社長

河端 伸一郎

/宮下 潤 動画/Glasses Creative 文/竹田 明(ユータック) | 2016.12.12

会社が目指す方向性を伝える場として、オフィス空間を活用している株式会社インタースペースの河端社長。新しくリニュアールされた会議スペースに込められた、世界を見据えた狙いに迫る。

株式会社インタースペース 代表取締役社長 河端 伸一郎(かわばた しんいちろう)

1970年、千葉県生まれ。1994年、大学を卒業し証券会社に入社。営業職として3年勤めるもベンチャー企業に転職し、1999年にインタースペースを立ち上げる。創業当初は試行錯誤の日々が続いたが、2001年のアフィリエイトビジネス開始以降、急速に会社は成長。2006年には東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たす。西新宿七丁目の約5坪のオフィスを皮切りに、西新宿界隈の4か所のビルに計4回移転。2007年に今の新宿NSビルに入居。現在はワンフロアの4分の3を利用している。

15年以上、ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)の運営実績がある株式会社インタースペース。2001年から続くアフィリエイトサービス「アクセストレード」をはじめ、育児や家族に関する喜びや悩みなどを書き込みができるCGMサイト「ママスタジアム」など、インターネット広告事業とメディア事業を幅広く展開する。

2016年6月に、会社のエントランスと会議室、応接室があるスペースをリニューアルした同社。白を基調にしたスタイリッシュな空間に生まれ変わったが、そこに河端社長は2つの狙いを定めた。ひとつは“明るい空間”がもたらす効果だ。

「目標を共有して歩むパートナーとして、明るい未来を感じさせてくれる空間で商談をすることで、話がスムーズに進むと考えリニューアルに踏み切りました」
 

事業にかかわる人たちと常にWin-Winの関係でありたい、という河端社長の思いが込められたロゴが印象的な「エントランス」。ロゴには、インタースペース(隙間、合い間)が彗星のごとく三者を繋ぐという無限の可能性も表現されている。

そしてもうひとつは、“開放感がある空間”だと河端社長は語る。

「ASPとして15年活動を続けてきて、一定の成果は出せていると自負しています。しかし、今後の更なる発展のためには、新しい企画やサービスをどんどん生み出していかなければなりません。そのために必要なイノベーションを起こすと決めました。そのときに、クローズドな空間よりも発想を豊かにしてくれる開放的なスペースをつくりたいと思い立ちました。そこで、明るさと開放感を演出するため、会議室、応接室の壁をガラス張りにし、新しい発想を生み出し、それを展開させるために“広がりの色”だと感じている白を基調としました」

しかし、発想を生み出し広げるだけではなく、決定していくことも重要だと考えた河端社長は、ひと部屋だけ黒をベースにした落ち着いた佇まいの部屋にした。

「発想を生み出し広げる際には白い部屋を使い、発想を煮詰めて物事を決定して行く際には黒い部屋を利用するようにしています。商談の際も、初期の段階は白の部屋を、グランドデザインが決まり、完成へ向かう段階では、黒の部屋を使うようにしています」

前回のリニューアルでは、社員が食事を取ったり、休憩したりする「リフレッシュルーム」をつくったという河端社長。リラックスできる空間で簡単なミーティングを行い、会議室にはないカジュアルな雰囲気のなかで社員間のコミュニケーションを促すため、カラフルな色合いでポップな空間をつくり上げた。

顧客との打ち合わせに使う「応接ルーム」。発想を生み出し広げる白と、発想を煮詰めて物事を決定していく黒というように、色が与える心理的効果を考慮した設計となっている。従業員たちの会議スペースとしても利用され、日々アイデアを出したり、それを練り上げたりとフル稼働している。

「オフィス空間が、そこで働く人々に与える影響は大きいと考えています。カラフルなリフレッシュスペースをつくったのも、白をベースにした開放的な会議、応接室をつくったのも、そんな心理的効果を狙ったものです。同時に、オフィスのデザインで会社が向かう先を提示することも意識しています。例えば、リフレッシュスペースは円滑なコミュニケーションを目指し、白い会議室は新しい発想を求めている、といった具合に」

もともと、オフィスは作業スペースがあれば事足りると、合理的な考え方をしていた河端社長が、オフィス空間が与える影響の重要性に気付いたのは、社員たちの声がきかっけであった。

「これまでに4回の移転と2回のリニューアルをしてきましたが、移転やリニューアルを通じて働いている人間は会社の成長や変化を感じ取るようです。創業直後の数年は、事業の拡大に合わせてスペースを広げる目的もあって、頻繁にオフィスを移転させましたが、そのたびに『会社が次のステージになった』という社員の声を耳にしました。そんな経験を経て、オフィスの雰囲気を変えることによって、そこを利用する人にメッセージを伝えられると気づきました」

従業員が休憩や食事に使う「リフレッシュスペース」。自分の席を離れて作業に集中したいときや、簡単な打ち合わせに利用する人もいる。仕事のアイデアやヒントにもなる書籍や雑誌、新聞なども閲覧でき、ルームの入り口付近ではコーヒーやおやつも販売している。

会社の規模が大きくなり、社員の数も増えた今、空間をリニューアルすることで、社員や取引先に会社のメッセージを伝えると河端社長は語る。

「世の中にとって価値のあるプロダクトを開発し、それを世界に広めていきたいという思いがあります。そのために新規事業推進室をつくり、社を挙げてインタースペースの次の段階に挑戦し始めたところです。具体的にどんなサービスやプロダクトを生み出して行くかは、まだこれから。だからこそ、社員間のコミュニケーションを活発にし、発想を大きく膨らませるための空間を必要としました。今回のリニューアルを皮切りに、インタースペースの新しいステージが始まります。今後は世界を視野に入れて、日本発のグローバルなサービスを生み出していきたいですね」
 

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

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DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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