刺激空間から革新が生まれる

社長室の壁のない空間が起業時の情熱を蘇らせた

株式会社ネクシィーズグループ

代表取締役社長兼グループ代表

近藤 太香巳

写真/芹澤裕介 動画/アキプロ 文/竹田 明(ユータック) | 2016.04.11

「新しいネクシィーズを見せてやろう」という意気込みのもと、オフィスをリニューアル。あえて社長室の壁を取り払った近藤代表の真意に迫る!

株式会社ネクシィーズグループ 代表取締役社長兼グループ代表 近藤 太香巳(こんどう たかみ)

1967年11月1日生まれ。19歳のとき、50万円を元手に会社を創業。34歳でナスダック・ジャパン(現ジャスダック)へ株式上場し、37歳で2004年当時最年少創業社長として東証一部に上場。2015年グループ2社目が上場を果たす。エネルギー環境事業、電子メディア事業、経営者交流団体「パッションリーダーズ」のいずれも日本一の規模にまで拡大。新プロジェクトであるセルフエステBODY ARCHI(ボディアーキ)を全国に展開中。常に新しい事業領域にチャレンジを続け、ビジネスパーソンから若者まで情熱あるリーダーとして圧倒的な支持を得ている。世界的経済紙・Forbes(フォーブス)による『Forbes Asia’s 200 Best Under A Billion 2018』に選定。『JAPAN VENTURE AWARD 2006』最高位経済産業大臣賞受賞。『シーバスリーガル ゴールドシグネチャー・アワード2019 Presented by GOETHE』ビジネスイノベーション部門受賞。2020年、業界をリードする環境先進企業として、環境大臣より「エコ・ファースト企業」に認定。

「根源的な問題が30%に含まれていない限り、70%いいなと思ったことは何でもやるべきだと思っています。とにかく思い切ってチャレンジすれば、新しいことが見えてくるし、解決しなければならない課題も明確になります。オフィスをリニューアルして社長室の壁を取り払うのも、僕にとって大きなチャレンジでした」

近藤代表は10年以上使ってきた“個室の社長室”の壁を取り払いオープン化に踏み切った。その結果、「仕事の効率が200%アップした」と語る。

「僕が働いているフロアには、秘書課、広報課、クリエイティブ課と、パッションリーダーズ事務局が入っています。この4つの部署があれば、僕の仕事はほぼ進められます。社長室の壁をなくしたことによって、誰がどこでどんな仕事をしているかが一目瞭然。

そうすると、僕が部下と会議や相談がしたい時、それぞれの課の誰の手が空いているかが“瞬時”にわかりますし、社員も僕に何かを確認したい時など、声をかけるタイミングがつかみやすく、フロア全体がいわば“僕を中心にしたチーム”として効率的に機能するようになりました」

代表のデスクからみえるオフィス風景。壁をなくしたことで、代表は社員を、社員は代表を、お互いが見えるようになり、作業効率が大幅にアップ。手前に「秘書課」、奥に「広報課」と「パッションリーダーズ事務局」、左手が「クリエイティブ課」となっている。

オフィスのリニューアルに際し、効率化だけでなく、近藤代表は来客に「劇的にカッコいい」と思ってもらえる空間を目指したと言う。その理由は、「来客に驚きを与えることがビジネスに良い影響を与える」という近藤代表が培った経験にある。そして、その経験をもっともわかりやすい形にしたのが、ネクシィーズ名物の“いらっしゃいませ攻撃”だ。

「上場する前、まだ事務所が10坪、15坪程度だった頃の話ですが、当時はまだ今のようにベンチャー企業が社会的に広く認知されていませんでした。社長の僕も社員たちもともに若いので、取引先が不安に思い、どんな会社なのか見極めるために事務所を訪問してくることが頻繁にありました。

そしてやはり、お客様が『取引しても大丈夫か?』といぶかる様子も見られたため、7、8人の社員と一緒に思いっきり元気にもてなすことに挑戦。お客様が事務所に入った瞬間、僕を含めた全社員が大きな声で『いらっしゃいませ!』と最高の笑顔で出迎えました。『僕たちは頑張っている』『もっと大きくなる』『僕たちの情熱はこんなものじゃない』ということを表現したんです。

すると、お客様は驚いた様子で、みんな『すごいですね』と言ってくださり、僕たちは自分たちの会社の勢いをアピールすることができました。社内ではこれを“いらっしゃいませ攻撃”と名付け、いつしかネクシィーズの名物、看板となりました」

【エントランス】ネクシィーズブルーが映える。ネクシィーズグループのコンセプトカラーであるブルーを効果的にレイアウトしたエントランス。エクスプロージョン、クリエイティブ、ブレークスルーをキーワードにセレクトした作品をはじめ、ネクシィーズグループを表現したアート作品が並ぶ。

ネクシィーズの成長とともに、当然社員の数も増えていったが、100人規模のオフィスになっても“いらっしゃいませ攻撃”を続けた。しかし、現在のネクシィーズビルに移転した時、オフィスがワンフロアではなくなったこともあり、“いらっしゃいませ攻撃”は封印されてしまったのだと近藤代表は言う。

「今回のリニューアルで、この空間に“いらっしゃいませ攻撃”が復活しました。あの頃のネクシィーズらしさが戻ってきたみたいで嬉しいです。原点回帰をすることで会社に活気をもたらすことができると感じています。新しいネクシィーズのパッションやムードが伝わるような空間になっていますし、リニューアルをして本当に良かったと思っています」

【応接スペース】円で“縁”を表現している。天井のライト、床に敷いたラグの円で“縁”を表現している応接スペース。ソファデザインは、新国立競技場にデザイン案が採用された「ザハ ハディド」氏が手がけたもの。また、社員たちが近藤代表の来客への応対を直に見ることができ、自分の仕事を進める上でのヒントにできる。

【執務スペース】時代の2歩先をいく先見の目。フロアのなかで1段高くなっている代表のワークスペース。背景には、常に時代の2歩先をいくサービスを提供する企業であるということを、モザイクタイルで表現した「ビジョンアイ」。ある程度離れないと“目”として認識できないなど、遊び心にもあふれる。

これまでにいくつかの社長室やオフィスで働いてきた近藤代表。今回のリニューアルを経て個室の社長室はいらないと考えるようになった。

「社員と一緒に会社を大きくしていく上で、チームとして働く意識を大事にし、一緒に働く社員たちに自分の判断や感性、情熱を見てもらえば、強い組織を作り上げることができます。そのためには、個室の社長室はない方がいいですね」

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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