Passion Leaders活動レポート

パッションという勝算【SHOWROOM・前田裕二氏 講演】

SHOWROOM株式会社

代表取締役社長

前田裕二

2018.12.10

2018年10月30日に行われたパッションリーダーズの定例セミナーで、注目度ナンバーワンの若手実業家、SHOWROOM株式会社・代表取締役社長の前田裕二氏が登壇。“生きるためにお金を稼ぐ”という少年時代を経て、成功に至るまでの道のりを語った。

SHOWROOM株式会社 代表取締役社長 前田裕二(まえだゆうじ)

1987年東京生まれ。8歳で両親を亡くし、兄とともに親類の家で暮らす。自力で稼げるように、とギターの弾き語りを始めたことで「人は絆にお金を払う」という、その後のビジネスに繋がる原体験を得る。早稲田大学政治経済学部を卒業後、UBS証券に入社。若手としては異例の業績を上げ、24歳でニューヨークに赴任すると、そこでも大きな成果を叩き出す。そんななか、家族のように慕っていた親戚の死をきっかけに「ゼロから新しい価値を創り出したい」と同社を退職。南場智子氏に事業立ち上げの相談したことがきっかけで、2013年5月にDeNA入社。同年11月に仮想ライブ空間「SHOWROOM」を立ち上げ、2015年8月に同事業を分社化したSHOWROOM株式会社を設立、代表取締役社長に就任する。

「僕なりに“熱”をテーマにお話します」

昨年6月に発売された初の著書『人生の勝算』(NewsPicks Book/幻冬舎)はAmazonベストセラーで1位を獲得するなど、多方面で活躍するSHOWROOMの前田裕二氏。会場には260名を超える経営者が集まり、熱気に包まれた。

「パッションリーダーズの講演なので、僕なりに“熱”をテーマにお話します」とし、前半は「SHOWROOM」で熱が生まれるのはなぜか、その仕組みを語った。

「『SHOWROOM』は、演者と視聴者がリアルタイムでつながる“同期型”のライブ配信です。ここにアーカイブを設けてしまうと、リアルタイムでつながることの価値が薄れてしまいます。ユーザーの希望を100%受け入れるとするなら、アーカイブは便利ですから用意した方が良いのかもしれません。

ですが、ライブ配信に限定することで個々の“熱量”が高まり、投げ銭システムやファンがのめり込む仕組みができあがっていく。視聴者は“観る”という感覚から、“行く”という感覚に変わり、仮想空間上に自分が存在しているという意識が芽生えます」

後半は、自身の少年時代から今に至るまでを詳細に語ってくれた。

「両親を亡くして兄と2人、親戚に引き取られた後は、あまり裕福とはいえない生活を送っていました。小学校4年生のとき、まずはお金を稼がなければと考えて、近所の駄菓子屋さんでアルバイトしたいと直談判。

そのとき、お店側に提案した時給は200円でした。格安の提案かと思いましたが、駄菓子屋さんからは、『一時間にうまい棒が20本も売れているように見えるかい?』と言われ、断られました。給料は湯水のように湧いてくるのではなく、生み出さなければ存在しないもの。子どもながらに、そのことを痛感しました」

その後、小学校5年生のときに補導された前田氏は、迎えに来てくれた兄に叱られ、殴られたという。

「自分を殴った兄は、号泣していました。両親はいなくなってしまったけど、自分には兄がいる。兄を喜ばせてあげたい……、大事なことに気がついた瞬間だったと思います」

そうして出てきたソリューションは、“人を喜ばせてお金をもらう”ということ。そして、駅前で弾き語りをするようになったという。

「決して思いつきでギターを持って駅前に向かったわけではなく、『お金を稼ぐため』のあらゆるソリューションを考えた結果“人を喜ばせてお金をもらう”という手段にたどり着きました。人は人間関係から生まれる“絆”に、お金を払ってくれるのだと知りました」

努力が報われる世界の実現へ

その後、前田氏は早稲田大学の政治経済学部を卒業。UBS証券会社に入社し、ニューヨークで株式セールス・アドバイザリーとして働いていた。そんななか、渡航先のインドである少年と出会ったことをきっかけに、「SHOWROOM」の基盤となる構想が生まれる。

前田氏の場合は、厳しい状況ではあったものの、努力すれば跳ね返ってくる環境が用意されていた。しかし、インドで出会った少年のように努力しても、どんなに生き甲斐を見つけても、報われない環境が現実に存在する。そのことを知った前田氏は、“どんな人でも努力がフェアに報われる世界をつくりたい”と考えた。

生きるエネルギーを見つけさえすれば、誰もがフェアに報われる仕組みをつくりたい――。当時の動画ブームやアプリの手軽さなどを取り入れつつ、演者の努力が視聴者に伝わり、リアルタイムで熱を生み出すサービス、「SHOWROOM」を立ち上げた。

なかなか日の目を見ない地下アイドルや、アピールの場が少ないお笑い芸人のために、オーディションを開催するなど様々な仕掛けを用意。こうして「SHOWROOM」は、国内動画配信アプリにおける収益ランキング1位を獲得するまでに成長した(2017年1月~6月)。

構想を実現し、事業をここまで軌道に乗せることができたのは、「“熱病”にかかっていたから」と前田氏は語る。

「暑苦しいと言われても、何歳になっても、僕は燃え続けたい。そして、世界規模で結果を出して、熱を持って生きることの尊さを、これからも伝えていきたいです」

<パッションリーダーズ 今後の予定>

新年賀詞交歓会2019

SBIホールディングス北尾社長による年頭所感と2019年飛躍の鍵

日時:2019年1月28日(月)19:00~

会場:セルリアンタワー東急ホテル B2Fボールルーム 東京都渋谷区桜丘町26-1

定員:先着300名

会費:【会員】無料 【一般経営者】10,000円

SUPER CEO Back Number img/backnumber/Vol_56_1649338847.jpg

vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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