Passion Leaders活動レポート

[パッションリーダーズ特別対談]佐藤 裕久×近藤 太香巳

「アフターコロナ新生NIPPON」に向かって、今こそ問いかけるリーダー論

株式会社バルニバービ 代表取締役 佐藤 裕久/株式会社ネクシィーズグループ 代表取締役社長 兼 グループ代表 近藤 太香巳

文/宮本育 写真/阿部拓歩  | 2020.04.10

新型コロナウイルスの感染拡大による影響が顕著だ。相次ぐイベント等の延期・中止、旅行やホテルのキャンセル、外出自粛により飲食店や百貨店は売上が激減。見えない猛威は、街から人の活動、賑わいを消した。そんな暗雲とした空気が漂う世界で、不安に押しつぶされそうになっている人々へエールを送ろうと、2020年3月30日、近藤代表と佐藤社長による無観客スペシャル対談をライブ配信した。戦いつづける人たちに今、改めて問いかけたいリーダー論を語っていただいた。

株式会社バルニバービ 代表取締役 佐藤 裕久/株式会社ネクシィーズグループ 代表取締役社長 兼 グループ代表 近藤 太香巳  

▼株式会社バルニバービ 代表取締役 佐藤 裕久:1961年京都市生まれ。ファッション業界での起業と挫折を経て、1991年、二度目の起業としてバルニバービを設立。大阪市立中之島公園内のカフェや140年の伝統を持つナポリのピッツェリアの世界2号店をはじめ、レストラン『GARB』、カフェ『GOOD MORNING CAFE』など、出店する地域の特色を活かした、その街に合った個性的、かつ、さまざまな形態の飲食店を展開。グループ店舗数は82店舗(2018年10月現在)。「美味しいものをより楽しく、より健康に、より安く」をすべての店舗に通じるキーコンセプトにし、食べることの幸せを提供することを目指している。著書に『一杯のカフェの力を信じますか』(河出書房新社)、『日本一カフェで街を変える男』(グラフ社)など。2012年、好評を博したKBS京都の日曜深夜番組『サトウヒロヒサの眠りにつく前に』が、2013年に再開、パーソナリティを務める。
▼株式会社ネクシィーズグループ 代表取締役社長 兼 グループ代表 近藤 太香巳:1967年11月1日生まれ。19歳の時、50万円を元手に会社を創業。34歳でナスダック・ジャパン(現ジャスダック)へ株式上場し、37歳で2004年当時最年少創業社長として東証一部に上場。時代が必要とするサービスをいち早く手がけ、携帯電話、インターネットを日本中に普及。現在は、エネルギー環境事業、電子メディア事業、経営者団体「パッションリーダーズ」のいずれも日本一の規模にまで拡大。世界的経済紙 「Forbes(フォーブス)」によるForbes Asia's 200 Best Under A Billion 2018に選定。常に新しい事業領域にチャンレンジを続け、ビジネスパーソンから若者まで情熱あるリーダーとして圧倒的な支持を得ている。JAPAN VENTURE AWARD 2006 最高位 経済産業大臣賞。『シーバスリーガル ゴールドシグネチャー・アワード 2019 Presented by GOETHE』 ビジネスイノベーション部門受賞。

直面している世界的危機。今だからこそやっておきたいこと

パッションリーダーズセミナーの中でもとりわけ人気を誇る近藤代表と佐藤社長の対談。いつもなら、ネクシィーズスクエアビルのセミナールームは、溢れんばかりの人が集まるが、この日はたったふたり。いつもは狭く感じる会場が、果てしなく広い。それでも自分たちの声や思いが届くと信じて、画面の向こうで見ている人々に、静かに、そして、熱く語りかけた。

近藤 今、このライブ配信を、約200名の大切な仲間たちが観ています。

佐藤 みんな、元気じゃないだろうね。

近藤 だからこそ、我々が笑顔でいないといけないと思って。

佐藤 うん。

近藤 では、早速。今、世界的な危機が起きているけど、兄さん、どう考えています?

佐藤 ずっと歴史軸を基準に見ているのだけど、例えば、1937年に日本は中国と戦争を始めたのね。日華事変。それから8年間、戦争が続いたのだけど、はじめの2、3年は遠い場所の出来事と感じていた人が多かったと思うんだよね。それが、東京大空襲、さらには広島・長崎への原爆投下につながった。今の僕たちは、その当時のどこにいるのか(危機感のない時期なのか、悲劇の真っただ中なのか)、すごく気になっている。

特に日本は、アメリカやイタリアなどに比べると大丈夫かなと安心している人がいるようだけど、自由がなくなっている状況を見ると、まったくすべてのものが戦時中と同じで、新型コロナウイルスに向けて対処しなければいけないタイミングが来ていると感じている。

大学の後輩が、ロンドンでファンド系の仕事や飲食業をやっているんだけど、2週間前にロックダウンして、家にいつづけたら飽きてきて、でも外出はできないから、家の中で家族と卓球したり、そんなモードになっているという話を聞いた。そういう意味では、日本も次のステップに入っているのかなと思ったよ。

近藤 日本は、経済支援策が明確に決まっていないけど(3月30日時点)、ロンドンはどうなの?

佐藤 ロンドンは決まっていて、社員全員を解雇したんだって。なぜなら、解雇したら、給料の8割を失業手当としてもらえるから。仕事がないなら全員解雇したほうが社員を守れるわけなんだよね。

近藤 解雇した社員は、新型コロナが終息したとき、どうするんだろう?

佐藤 インターバルを置かないと、また社員として採用することは出来なさそうだけど、まだ、そのへんのリグレッションはわからないみたいだね。ただ、一旦は完全解雇。そうすることが得策ではないかという判断らしいよ。

近藤 この状況は永久的に続くようなものではないと思っている。とはいえ、あと半年、1年かかるといった話もあるよね。僕が今何を考えているかといったら、今だからこそ出来る、やっておかないといけないことをやろうということ。新しいこと、試したいことも含めて。

危機に直面して試される、トップとしてのリーダーシップ

佐藤 実は当社は、1995年12月から飲食業を始めているのね。きっかけは、1995年1月17日に起きた阪神淡路大震災だった。あのとき、僕の愛する神戸がグチャグチャになった。この悲惨な状態をどうやってもう一度盛り上げるか、どうサバイブするかというのが、我々のスタートだったんだ。

そして、2011年3月11日の東日本大震災のときもそうだった。あのとき、東京本部となる蔵前のビルのオープニングを4月1日に控えていた。だけど、震災が起きて、原子力発電所が爆発して、工事は止まり、職人さんたちも逃げた。

「工事、どうします?」と言われたけど、どうしますもこうしますもない。蔵前がある台東区が放射能で汚染されたら、隣の千代田区にある皇居も汚染される。そんなことになったら人事を尽くしても無理だと。

それなら、そうならないように祈りながら、こういうときこそ出来ることをやろうと、みんなに言っていたね。未来に向けて仕込んでいることに対して、胸を張って進もうと。僕らはもともと雑草で、もともと瓦礫の中から、一から始めたから、今回のことも何となくDNAに組み込まれている感じがする。だから、実はビビってないよ。

近藤 驚いたんだけど、僕もまったく同じ考え。この間、社内SNSで「安心して頑張れ」とメッセージを送った。我々は数々のピンチを乗り越えてきたじゃないかという話を添えて。

当社は、ベンチャーバブルの崩壊で、2000年4月25日に東証マザーズへの上場を取り消された経験がある。上場申請が通って、上場日の2週間前だった。東証マザーズ承認取り消し第一号だったものだから、全世界に報道され、取り引きのあった銀行は全面撤退、半年以内に何かしらのアクションを起こさないと、キャッシュフローが回らずに倒産するというところまで追い込まれた。あのピンチを乗り越えたじゃないかと。だから、安心しろと伝えた。

ただ、安心しているだけじゃなくて、今やれることを精一杯やれと。こういうピンチのときこそ、新しいアイデアが出てくるときだからね。そのアイデアをもとにノウハウを作っていったら、根っこが強くなる。結果、新型コロナが終息したとき、さらに強い会社になっているかもしれないと。

佐藤 お互いに半端じゃないピンチだったよね。

近藤 つまり、リーダーに必要なのは、どれだけ腹が据わっているかということ。トップに立つ僕らがうろたえてはいけないんだ。前に向かっていくしかない。何とかするしかない。大丈夫だという根拠のない自信が必要だね。今の状況がどうなるかなんて誰にもわからないわけだから。

佐藤 乗り越える前の、真夜中のような暗闇。夜明けなんか来ないんじゃないかという、あのときの覚悟をもう一度思い出して、乗り越えようという意識だよね。

近藤 そう。こういうときこそ、経営者は強くなるときだと思うんだよね。やるべきことはちゃんとやらないといけないし、前に行くしかないから。落ち込んでいても、そこから何かが生まれるわけがないし。

新型コロナで注目されている「リモートワーク」について

近藤 今回の件で、どこよりも早くGMOインターネットさんがリモートワークに切り替えたことは、周知のことだと思うけど、短期間でスムーズに移行できたのは、数年前からあらゆることを想定して訓練を行なっていたため。また、売上も業績も、移行前と変わっていない。

つまり今回の件でダメージを受けていないということなんだよね。新型コロナが終息した後、ここで得たノウハウをもとにしたら、事務所を増設せずに社員数を増やすことができるということを、熊谷代表自身が言っていて、素晴らしいなと思ったよ。

佐藤 極端にいえば、社員同士のコミュニケーションは必要だから、週1回は通勤しましょうということになっても、通勤に費やす労力は5分の1でいいわけだよね。そしたら、今の事務所の面積は必要なくなる。

今、東京は、オフィスの数が不足すると言われ続けているのに、いまだにどんどんビルを建てている。だけど、オフィスにいないといけない理由は本当にあるんだろうか。その問いを突き付けられていると思うんだよね。

近藤 一方的にリモートワークは出来ないと諦めるのではなく、うまくいくかわからないけども、考えることで、新しい働き方につながるアイデアが生まれてくると思うんだよね。出勤できないのであれば、どういうふうにやればいいかとか、これは出来るよねとか。

佐藤 それはもっと言うと、ライフスタイルの変革にまで行き着くと思うんだよね。例えば、当社は、淡路島にも店を出しているんだけど、電車がないのよ。車でしか行けない。それが、3月中旬の3連休で、売上が350万円だよ。この3日間の売上は、東京のど真ん中の店も含めて、全店1位。それはなぜかといったら、東京一極集中から分散されたためだと考えている。

東京のように坪3万円もするようなマンションに住まなくても、淡路島なら5万円あったら一軒家を借りられるんだよね。そこに住んで、リモートワークで仕事をすることができるから。

近藤 それなら、バカンス先でリモートワークしてもいいよね。あと、おしゃれなホテルとか。僕だったら、プールで泳いじゃうような気がする(笑)

佐藤 そう。都心から離れて、遊びながら働こう、ぐらいにライフスタイルが変わる可能性があるんだよ。そうなったら、右脳が刺激されて、おもしろいアイデアが出てくる。しかも、住むところも、東京の家賃と同じで広さが数倍。近くに海や森があって、太陽が燦々を降り注ぐ。地方のほうがいいじゃんって気づくんじゃないかな。

近藤 そういう気がしてきた。

佐藤 これは間違いなく、地方のパッションリーダーズの皆さん、北海道、東北、四国、九州の人たちにチャンスがやって来ていると思っているんだよね。

有言実行。それがヒーローの第一条件

近藤 チャンスが来ているといっても、そこから結果を出せる素質がないといけないわけで。僕が「この人、素質があるな」と思うのは、誰よりも熱狂し、努力している人。口だけの人は素質があるとは思えない。

アスリートでも芸能人でもそうなんだけど、何でも行動で示している。例えば、役者が時代劇をやるとなったとき、馬に乗れますかと聞かれたら、乗れなくても「乗れる」と言うんだよね。そして、撮影本番までに本当に乗れるようにしてくる。口に出して「やる」と言ったことは、必ずやり遂げる。これが必要だと思う。

佐藤 僕もそう思う。

近藤 ヒーローというのは、やっぱり「有言実行」だよね。宣言せずにやって、「実は僕、やるつもりでした」と言っても、それはヒーロー性が薄い。やると言って実現するから、あの人は言ったことをやる人と評価される。言い切らないといけないよね。

佐藤 そういう人が伸び悩んだときは?

近藤 伸び悩んだときは、自分で何とかしてそれを覆す。僕も、いまだに立ち止まりそうになる場面はたくさんあるよ。

佐藤 伸び悩むというのは、停滞するということだけど、停滞したら悩んでいる場合じゃないものね。

近藤 そうだね。だから、あらゆる角度から考えて、その課題を解決することばかり考えているよ。

佐藤 脳ミソが千切れるんじゃないかってくらい考える。それしかない。

近藤 そうすることで、新しいノウハウが生まれるわけだから。

これまでにないものに挑戦する。新ビジネスモデルの発想

近藤 新しいノウハウといえば、兄さんのバッドロケーション戦略には、いつも感心しているんだけど。

佐藤 地方創生がひとつの謳い文句になっているんだけど、どうして人は地方に住まないのかと考えたら、それは明確で、「面白くないから」なんだよね。東京に住んでいれば、昼間は仕事をがんばって、夜は六本木や銀座、西麻布で遊ぼうかってなる。

だけど、地方は夜になると遊ぶ場所がない。真っ暗になって、怖いの。夜が面白くないということは、結果的に楽しくないということにつながっていく。そこで、僕ら世代がどんどん地方に行って、昼も夜も面白くしていくのが、僕のバッドロケーション戦略の行き着くところかなと思っている。

近藤 いろいろな事例がある中で、驚いたのは、寒い季節が長い北海道の海沿いに、サーフィンカフェを作れと言ったとき。あれは僕、意表を突かれたね。

佐藤 人が圧倒的にほしがるものは、どこにもないものなんだよ。北海道の海はすごくきれいで、サーフィンに打ってつけなんだけど、ひょっとしたら1年間で2カ月しか出来ないかもしれない。ならば、2カ月で1年間分を稼げばいいだけ。めちゃくちゃカッコよくしたり、コタツがあってそこから流氷が見られるとか、そういうものもありかもしれない。

淡路島に店を出すとき、社内からこんなことを言われた。「社長、出店する場所には電車がありません。ワインもビールも売るのに、車でしか来られない場所にお客さんはどうやって来るんですか?」と。だから僕は言ったよ。「知るか」って。

近藤 知るか、なんだよね。

佐藤 別に無責任に言っているわけじゃない。みんな、よく考えて。そんなこと、知らなくていいんだよ。本当に行きたいところ、本当にいいなと思ったところなら、人は来る。

例えば、車に5人乗れるなら、1人はお酒が飲めない人でもいいし、ジャンケンで負けた人がお酒を飲まないでもいい。そういったことが楽しいじゃない。余興になる。そこまでして来たところが、涙が出るほど感動する夕日を見られる場所だったら、思い出に残るよね。それだけで、十分、行く価値はある。

近藤 面白いよね。

佐藤 そう考えたら、日本は今から再生するチャンスだと思っている、本気で。負け惜しみでも、何でもなく。そう言われると、ちょっと元気になるでしょ?

近藤 そういうところ、本当に話が合うんだよな。僕も、ゼロイチが好きだから。アプローチが他の人と同じなのが嫌なの。だから、LED全部無料とか、kindleがないときから電子雑誌を作ったりとか。これまで業界にないことに挑戦すれば、課題が出てきて、それを乗り越えた先に、すごいものが出来ることを知っている。

佐藤 社会にどういうものを指し示すか、これからの僕たちの役割は大きいよ。行き詰っても、それでもなお、進むんだという覚悟は持っていこうと思っている。

近藤 みんな、その気持ち、持っていこう!

佐藤社長から応援ソング『アフターコロナ新生NIPPON』

佐藤 この曲は、ライブ配信を見てくれたみんなから募集したキーワードで作った即興ソングです。新型コロナウイルスは、不自由な暮らしを強いられたり、今までやってきたことを全部奪われたり、最悪、命を落とすこともある恐ろしい病気です。僕たちの生き方そのものを見直せと言われているような、そんな気がします。でも、この危機を乗り越え、生き延びたら、その人たちがさらに面白い時代をつくっていくんだぞという、みんなの心の叫びを歌にしました。

アフターコロナ新生NIPPON
作詞・作曲 佐藤 裕久

きみは あの日 俺に 話してくれたよね
きみは いつも 心の中に 愛 希望 そして 思い 語る
きみの 歩いてきた道は けっして 平たんでは なかったはず
きみの めざした道は 楽なものではなかっただろう
いま 立ち上がれ 仲間たちよ
いま 立ち上がれ 仲間たちよ
俺たちの 明日は 輝くだけの 未来じゃないかもしれない
俺たちの 明日は 栄光だけが 待ってるわけじゃないかもしれない
そんなとき 人は思う 明日はもっと 進めるんじゃないかと
そんなとき 人は 一流であるために 動こうとする
ともに 学び 磨き つながる
ともに学び ともに磨き ともにつながる
明日へ 歩いてゆけ
暗闇の中だとしても
明日へ 歩いてゆけ 
真っ暗闇の先は 見えないだろうが
明日へ 歩いてゆけ
今日集う 仲間たちと ともに
Ah アフターコロナ新生NIPPON
コロナなんて ぶっ飛ばしてしまえ
Ah アフターコロナ新生NIPPON
明日の道は 俺たちで 創るんだ

近藤 何度でも言うよ。みんな、何としても生き残ろう。そして、またみんなと会えることを心から楽しみにしている。

佐藤 本当に楽しみにしている。また、会える日を楽しみにしているよ。

近藤 がんばろうぜ! 生き延びよう!

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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