採用実務支援会株式会社
代表取締役社長
松下智彦
写真/田村和成 文/中野祐子 | 2020.09.10
採用実務支援会株式会社 代表取締役社長 松下智彦(まつしたともひこ)
1984年奈良県生まれ。関西大学経済学部卒業。大手専門商社からの転職のために登録した株式会社リクルートエージェントに入社。法人の採用コンサルティングを担当し、トップの成績をおさめる。その後、培ったノウハウを活かし、人材派遣会社の管理者としてキャリアを重ね、2020年1月に起業。採用実務支援株式会社と、「一般社団法人日本イグジットマネジメント協会」を設立。
自分に適した仕事を求めて転職した大手人材サービス会社で、法人に向けた中途採用支援、再就職支援、リストラクチャリングに携わり、トップアドバイザーとして活躍。その高い実績と優れたノウハウを強みに、中小企業の採用・定着コンサルティングを行う松下智彦代表。慢性的な人手不足や採用への投資が難しい中小企業こそ、専門的な支援が必要だという。
「中小企業の採用でまず課題となるのが、高額な求人広告に出しても応募が来ないこと。そこで、“複数の求人検索サイトに自動掲載される自社採用サイトと作成ツール”を開発し、一般的な採用広告費と比べると破格の月5万円・年間60万円で提供しています。情報更新や応募者管理が一元で行え、採用に要する費用も労力も大幅に削減。その分を福利厚生など従業員定着のための費用に活用できます」
さらに、中小企業の採用のキーパーソンとなる経営者に直接アドバイスも行う。
「経営者に求める人材を伺うと、大半が『若い人』『コミュニケーション能力の高い人』と回答されるのですが、こんな抽象的な求人で応募は来ないでしょう。“誰にでも響く求人は、誰にも響きません”。自社の社風、職場環境、仕事の魅力を見直し、どんな人が適しているのか、つまり採用すべき人なのかを明確化。求人サイトの文章や写真を含め、ターゲットを絞った具体的な採用を展開していきます。応募数が少ないという声も聞きますが、1人でも最も適した人が来てくれれば、数は必要ありません」
採用した人は、「目をかけてもらっている=定着につながる」ことから、時期を見て経営者による面談を推奨。さらに松下代表が会社、仕事への満足度などをヒアリングし、改善点があれば対策を講じるという。現在、サイト・ツール利用を含め、30社以上と契約。採用・定着効果に評価を得ている。
物おじしない性格と人懐っこさで、採用担当者や経営者にズバリ指摘しても受け入れてもらえる松下代表。経営者や社員も気づいていない魅力をみつけるのも得意だという。
コロナ禍を受けて、松下代表は日本では稀な退職勧奨支援事業を開始。「一般社団法人日本イグジットマネジメント協会」も設立した。
「コロナ禍はもちろん、企業には社会、経営状況、社員の問題などによって、退職を促すことが必要な場合があります。ただ、退職勧奨は非常にデリケート。ひとつ間違えれば、不当解雇、退職強要として訴訟や慰謝料の支払い義務を負いかねません。このリスクを回避するため、人事責任者、社会保険労務士に向けた独自のプログラムを構築しました。現在はリモートですが、退職勧奨事務者育成セミナーを随時開催。プログラム修了後、退職=出口の支援者という意味の“EXIT MANEGER®”として協会で認定します」
ポロシャツの背には「EXIT MANEGER」の文字が。因みに前には「採用定着士」と「中小企業に採用定着力を」の文字が入る。中小企業支援の想いが溢れた一着。
具体的には、退職勧奨の対象社員に対して、時期や退職金などのプロセスを法律に則って設計。質疑応答のシナリオを作成し、心構えや言葉遣い、スティンザー効果という座り位置なども指導しながら、面談の担当者をロールプレイング形式でトレーニング。万一、合意退職に至らなかった場合は松下代表が対象社員と最終面談を行う。
スタートしたばかりだが、3社が松下代表による退職勧奨支援を受け、30名の認定イグジットマネージャーが活躍している。
「退職勧奨は決してネガティブなものではありません。企業側は新陳代謝を行うことで、経営の活性化が図れ、自社・職務に適した人材を新たに採用できる。退職勧奨を受ける側も、今より適した会社・仕事が必ずあり、人生がもっと豊かになる。この “適材適所”こそが、経営や雇用、労働、社会にもメリットをもたらすと思います」
コロナ禍は求人や採用にも影響しているが、感染終息後など先を見据えての採用が不可欠と松下代表。入口・出口戦略を循環させ、「適材適所の世の中に」という目標を達成していく。
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